がんがのど周辺まて広がると声を失うこともある
頸部食道がんで、がんがのどの周辺にまで広がっている場合は、頸部食道のすべてと喉頭 (声帯のある器官)も切りとらなければなりません。
その場合は、喉頭を切除することで、声が出せなくなります。
新たな食道をつくるには、小腸の一部をもってきて移植します。
さらに新たな気管への入り口もつくる必要があり、手術はきわめて複雑になります。
がんがさらに進行して、周囲やはなれた臓器に転移がみられる場合は、もはや手術で治すことはむずかしくなります。
その場合、将来、がんが大きくなって食道がふさがれてしまうこともあります。
それを避けるために、食道の内側に「ステント」とよばれる柔軟性のあるチューブを通して食道を広げ、食べ物が通過できるようにしておきます。
ステントを使っても口から食べることができないようであれは、お腹に穴を開けて、直接胃袋に食べ物を送りこむこともあります。
放射線療法と化学療法を併用する治療法が効果的
食道がんでは、たばこの吸い過ぎなどで心臓や肺が弱っているなど、患者さんの体力的な間題で手術することができない場合があります。
また、がんが周囲の臓器やはなれた臓器に転移している場合にも、やはり手術でがんを完全にとりのぞくことは不可能になります。
その場合は、放射線療法と化学療法が選択されます。
最近では、手術の可能な場合でも、患者さんの希望により、この治療をおこないます。
ほかのがんでは、それぞれ単独で用いられるのが一般的です。
しかし、食道がんでは、放射線療法と化学療法を同時に進める「放射線化学療法」が実施されています。