多剤併用療法と術後について

現在、国立がんセンターでは多剤併用療法について臨床試験で有効性を検証しているところです。
さらに、「TS-1」とよばれる薬は、治療効果か高いということで、最近注目されています。

一方、手術後の再発防止に化学療法が用いられることは臨床試験をのぞいて、基本的にはありません。
有効であることが臨床試験ではっきりと証明されているわけではないからで、国立がんセンターでも、積極的にはおこなわれていません。

現在、全国規模で臨床試験がおこなわれています。

【術後の過ごし方】バランスのよい食事を心かけ、ゆっくり食べる

胃を切りとると、さまざまな後遺症があらわれます。
たとえば、ビタミンB12の吸収が悪くなって、貧血をおこしやすくなります。
カルシウムの吸収も悪くなるので、骨が弱くなります。

幽門(胃の出口)を切りとった場合は、食べ物をゆっくりと小腸に送るという機能かなくなるので、食後に冷や汗か出たり、吐き気などをもよおしたりします。
これを「ダンピング症候群」といいます。
ひどくなると、血糖値が下がりすぎることで、頭痛や発熱、めまいがおこることもあります。

噴門(胃の入り口)を切りとった場合は、食道に胃液が逆流することで、食道が炎症をおこす「逆流性食道炎」になることもあります。
これらを防ぐためには、食生活が重要です。

術後しばらくは、消化が良く、栄養価の高い食べ物を少しすっ、 一日5〜6回に分けてとるようにします。

朝、昼、晩の三食に加え、午前と午後に間食をとるといいでしよう。
その際、たんぱく質やビタミン、鉄分、カルシウムを多く含んだ食材を選び、脂質や炭水化物はひかえる必要があります。

食事の量が増えてきたら、食事回数を減らします。
お汁粉やぜんざいなど、流動性が高く、甘いものはダンピング症状をおこしやすいので注意が必要です。

また、食事中の水分補給は、食欲を減退させるので、おすすめできません。
食後一時間程度してから水を飲むように習置づけるとよいでしよう。

退院後は医師の指示にしたがって、定期的に通院し、術後の経過を調べます。

早期がんの手術を受けた人は、半年〜1年に1回、がんが漿膜に達していた人は3カ月に一度は再発をチェックするための検査が必要です。
なお胃全摘をした患者さんは、年に数回、ビタミン12の注射をします。

下腹部の不調の原因

2020年3月1日