食塩に反応する人としない人がいる
高血圧について語るとき、すぐに思い浮かぶのは減塩という言葉です「塩を取ると、すぐ血圧が上がる」と考えている人も多いようです。
そもそも「塩は高血圧の一番の原因」といわれたたきっかけは何なのでしょうか。
それは、昭和30年ごろから東北地方でおこなわれた疫学調査にあります。
当時この地域には40〜50代で脳出血を起こす人が多く、食生活の調査から、その原因が塩分の多い味噌汁や漬物をたくさん食べることにあるとされたのです。
ところが、食生活が豊かになり、昔は満足に取れなかったタンパク質や脂肪を摂取できるようになると、この地域の脳出血の発生率は減少しました。
つまり、塩の量ではなく、食生活全体のバランスに問題があったのです。
さらに、最近の研究で塩分は必ずしも高血圧の原因ではないことが明らかになってきました。
高血圧の患者さんを詳しく調べると、2つのグループに分けられることがわかってきたのです。
一つは、塩分を多く取ると血圧が上昇し、塩分を減らすことで血圧が下がる「食塩感受性」のグループです。
もう一つは食塩に血圧の数値が反応しない「食塩非感受性」のグループです。
つまり、世の中には食塩に血圧が敏感に反応する人と、全く反応しない人がいるということなのです。
食塩に対して感受性を持つ日本人は半分以下と考えられていますから、高血圧患者の多くは食塩の摂り過ぎ以外の原因で高血圧なったと考えるほうが自然です。
このように述べると、自分は食塩感受性のあるグループに属するのか、非感受性のグループに属するかを知りたいところでしょう。
しかし、残念ながら現時点ではこれを正確に調べる方法はありません。
そこで、身近な方法としてお勧めしたいのは、自分で血圧の変化を調べることです。
やり方は簡単です。1〜2週間、塩分の少ない食事を続け、その後、食塩が多めの食事を同じように1〜2週間続けます。そして、この間、家庭用の血圧計を使って血圧を測るのです。
減塩期間中の血圧に比べて10%以上の血圧上昇があれば、食塩感受性があると考えられます。