心臓の機能が段々と落ちることで寿命を縮める心不全
心不全という言葉自体はよく耳にするが、実際どのような病気なのかはよく知らないという人は多いようです。
そのため、日本循環器学会と日本心不全学会は、心不全についての正しい知識を広めるために「心臓が悪い→息切れやむくみが起こる→徐々に悪くなる→寿命を縮める病気」という、これまでよりも簡単な心不全の定義を定めた診療ガイドラインを2018年に発表しました。
心臓の働きが悪いと息切れやむくみが起こりやすいというのはイメージしやすいでしょう。
しかし、悪化の一途をたどり命を縮める病気だと認識している人は少ないと思います。
心不全は放っておくと硬実にだんだん悪化していく病気なのです。
新しく定められた心不全の定義とは
心不全とは心臓機能が低下してしまう病気です。
心臓の機能が低下すると息切れやむくみなどの症状が現れます。
進行につれて回復が困難になるなるばかりでなく最終的には寿命を短くします。
心不全の悪循環
シニア世代の心臓は加齢によって十分に拡がらなくなる
高齢者に多い「拡張不全」は心不全の7割を占めています
心臓は拡がったり縮んだりを繰り返すことによりポンプとしての働きをしています。
拡がったときに心臓内に血液を取り込んで、縮む際に血液を押し出しているのです。
4つの部屋がある心臓
心臓の内部は4つの部屋に分かれています。
血液は全身を巡った後、右心房に入り右心室に送られ肺に送り出されます。
血液は肺で酸素を取り込み左心房に入り、左心室に送られた後に全身に向けて送り出されます。
つまり、心臓がしっかり拡がったり縮んだりしていれば、十分な量の血液が全身や肺を巡るという事になります。
ところが心臓が十分に拡がらなくなったり、十分に縮まなくなったりすると心臓のポンプ機能が低下します。
これが心不全です。
これまでは縮む力が低下して起こるタイプの収縮不全が多かったのですが、最近は拡がりが悪くなるタイプ の拡張不全が増えています。
心不全のある方を対象に行われた大規模な調査によると、心不全の約7割が拡張不全であることがわかっています。
拡張不全による心不全は高齢者に多くみられます。
これは、年齢を重ねることで心臓の筋肉の線維化が進み、心臓の壁が硬くなることが原因です。
そのために特に心臓病がない方でも高齢になると心不全が起こりやすくなるということになります。
このことから現在の高齢者が増え続ける日本では心不全パンデミックが懸念されています。