脊髄小脳変性症の分類

脊髄小脳変性症の病型分類

脊髄小脳変性症に含まれる疾患は数十種類もあると考えられています。
主な疾患名だけで常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症と常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症ともに30種類ほどあります。

非遺伝性(孤発性)脊髄小脳変性症は、大きくわけて2種類になります。

通常の神経変性疾患の場合、遺伝が原因である比率は約10%以下で、脊髄小脳変性症は遺伝性である割合が約30%と、他に比べて非常に高くなっています。

常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症の分類

優性遺伝性脊髄小脳変性症は、原因となる遺伝子座(染色体やゲノムにおける遺伝子の位置)や遺伝子が見つかった順に1型・2型・3型というように名付けられています。

日本では下記4種類のタイプが圧倒的に多く、患者の8割を占めています。

日本で多い4つのタイプ
  1. 3型 (マシャド・ジョセフ病
  2. 6型
  3. 31型
  4. 赤核淡蒼球ルイ体萎縮症
    (DRPLA:幼児期に発症すると重症となり発達障害やミオクローヌスてんかんを合併します。成人の場合はより軽症で、認知障害を伴います。)

常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症の分類

常染色体劣性遺伝性の脊髄小脳変性症は、日本人では数%しか発症しませんが、欧米では、常染色体劣性遺伝性のフリードライヒ失調症が最も多いと言われています。
また、日本人にフリードライヒ失調症の患者さんはいません。

常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症は、小児期発症で、ビタミンEの欠乏や眼球失行など特有の症状や検査所見を伴うのが特徴となります。

孤発性(非遺伝型)脊髄小脳変性症の分類

孤発性脊髄小脳変性症の大部分は、多系統萎縮症(MSA)に分類されます。

オリーブ橋小脳萎縮症・線条体黒質変性症・シャイ・ドレーガー症候群は、ともと別の疾患としてとらえられていたのですが、同じ疾患だが症状の現れ方が違うだけと判明したので多系統萎縮症という病名で呼ばれるようになりました。

3つの病型ともに、同じような病理所見を示します。

多系統萎縮症以外の孤発性脊髄小脳変性症は、皮質性小脳萎縮症(CCA)に分類されます。
皮質性小脳萎縮症(CCA)には多数の病気が含まれており、それぞれの病気を明確に区別するだけの特徴がありません。
これらは運動失調以外の症状がみられないことから、純粋小脳失調型と呼ばれます。

純粋小脳失調型(CCA)に比べて、多系統萎縮症(MSA)の場合は多様な症状が現れます。

主な症状は、パーキンソニズム、小脳性運動失調、排尿障害、起立性低血圧といった自律神経症状がみられます。

その他にもジストニアなどの不随意運動や脚の突っ張りなどの錐体路徴候(すいたいろちょうこう)なども伴います。
初期にはパーキンソニズムや小脳失調症状のみが続くこともあるので注意が必要です。

脊髄小脳変性症における遺伝子変異の特徴

2020年3月1日