胃がんの特徴と症状とは

切除部分をできるだけ少なくする手術が多くなってきた

【胃とは】消化吸収を助ける予備的な消化器官

胃は袋状の臓器で、食道という管をとおってきた食べ物は、いったんここで受け止められます。
その後、強い酸性の胃液とまざり、どろどろに溶かされてから、少しずつ十指腸に送りこまれます。

胃は、食道からの入り口部分にあたる「噴門」、中心に位置する「体部」、十二指腸への出口に近い「幽門」の三つに分けられます。

成人男性で1200〜1500ミリリットル、同じく女性で1000〜1200ミリリットルの容積があります。

この胃に発生するがんを、胃がんといいます。

胃そのものに消化・吸収の能力はありません。
その補助的な役割をになう臓器なので、たとえすべて切りとってしまっても(胃全摘)、ただちに生命の危険にむすびつくことはありません。

ただし、貧血の予防に必要なビタミンB12を吸収するためには、胃から分泌されるたんばく質が必須です。
そのため、胃全摘をした場合は、定期的にビタミンB12を補う必要があります。

【胃がんの特徴】粘膜から発生するがん 現在も世界一の発生率

胃の断面は、内側から粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜の五層からなっています。
このうち、がんは胃液や粘液を分泌する粘膜層から発生します。

胃の内側から見ると、がんの場所は表面がへこんでいることか多いのでわかります。
しかし、胃がんの数パーセントは、「スキルス胃がん」といって、胃の表面にはっきりとあらわれず、胃の壁の中でひろがる性質をもっています。
若い女性に比較的多くみられるのが特徴です。

胃がんは、20歳代の若年層にもみられますが、主に40歳代から増加しはじめ、60歳代がピークです。

国内における胃がん患者数は、133,900人(2016年)とがん全体で最多です。
日本だけでなく、世界でもっとも高い発症率ですが、近年は徐々に減少傾向にあります。

また、以前はがん全体における死亡率もトップでしたが、検診などで早期発見されるようになり、死亡率も下かってきました。

【胃がんの症状】初期はほとんど無症状 胃炎に似た症状は注意

早期の胃がんでは、特徴的な症状はなく、上腹部の痛み、胃の膨満感、胸焼け、げっぷ、吐き気などがみられることがあります。
患部からの出血による吐血や下血がみられることもあります。

はじめのうちは空腹時や食後にあらわれることか多く、しだいに慢性的におこるようになります。
しかし、胃がんに特徴的な症状というわけではないので、胃炎胃潰瘍と思いこんでしまうことか多いようです。

がんが進んでくると、食欲がなくなったり、体重か減ったり、貧血になったりすることもあります。
また、食べものがつかえたり、胃のしこりを外から触れることかできるなど、しだいにはっきりした症状があらわれてきます。

胃がんの原因と予防方法

2020年3月1日