細菌性胃腸炎
サルモネラ腸炎
腸炎ビブリオと並ぶ代表的な食中毒の原因菌の一つです。
イヌ・ネコ・ニワトリ・ネズミ・カメなどに多く見られるサルモネラ菌が、卵・肉またはそれらの加工品を汚染することで食中毒が発生します。
夏に発生することが多く、特に鶏卵が危険です。
液卵と呼ばれる業務用の鶏卵加工品が汚染されると、調理温度の管理が不完全な飲食店などを中心に、一気に大規模な食中毒が発生します。
最近ではケーキのサルモネラ食中毒がしばしば発生しています。
潜伏期は12~48時間程度で、主症状は発熱・腹痛・下痢・嘔吐で血便になることもあります。
38度以上の発熱が1週間続くこともあります。
下痢の回数は1日数回から10回以上になり、その多くは水様下痢便でまれに膿粘血便になることもあります。
病変(病気が原因で体に変化が起こること)はS状結腸や盲腸、回腸など広範囲にみられます。
診断は便や血液の菌を検出して行います。
治療薬はアンピシリン・ホスホマイシン・ニューキノロン剤が有効です。
腸炎ビブリオによる腸炎
腸炎ビブリオは沿岸の海水中にいて、水揚げされた魚介類の死骸の肉中に侵入します。
夏の時期には魚肉の中で急速に増殖するので、刺身や寿司などの魚介類を生で食べることにより食中毒が発生します。
主な病変は小腸で、魚介類を食べた後わずか数時間で発病します。
症状としては激烈な腹痛と下痢で、悪心や嘔吐を伴い、血便をがでることもあります。
初期症状は激烈ですが、通常2~3日で回復します。
カンピロバクター腸炎
カンピロバクターは牛・豚・鶏などの腸管に多く存在し、菌に汚染された肉、またはその肉を調理したまな板を介して感染します。
主に鶏肉、鶏卵、牛レバーなどが感染源になります。
特徴は潜伏期が1~7日と長いという点です。
症状として腹痛、悪心、嘔吐があり、38度以上の発熱が3日ほど持続します。
下痢が1日10回ぐらい出るようになり、約半数が血便で、症状が改善するまでに3~5日かかります。
新生児では敗血症や髄膜炎などの全身感染をおこすこともありますので要注意です。
カンピロバクター腸炎は急に発症する左右対称性の四肢運動麻痺をきたすギラン・バレー症候群の原因にもなります。
治療薬はマクロライド系抗生剤が最も有効で、ニューキノロン剤は副作用が少ないので良いとされていますが耐性(体が慣れてしまう)が強いです。