これまでの更年期に対する考え方
日本の更年期に対する認識はとてもひどいもので、女性は自らの更年期や閉経については語ることはありませんでした。
それどころか、もう女ではないという心ない言葉も浴びせらる時代だったのです。
更年期についての研究は半世紀前の文献でも、ほぼ現在と同じレベルで研究しつくされている状態でした。
しかし、医学教育では更年期に対して消極的で、臨床の現場でも更年期は女性なら誰もが経験する一通過点にすぎないとされており、更年期障害で死んだ人はいないと軽視されていました。
医療サイドが更年期障害で死なないと突き放すということは、患者サイドにしてみれば死ぬほどつらいと訴えていたのだといえます。
自分で心身のコントロールが不能に陥った更年期の症状は本当に辛いものです。
今でこそ認知されているホルモン補充療法ですが、これまではほとんど解決策がありませんでした。
最近の更年期に対する考え方
最近は更年期について様々な見解が発表されており、医療の現場でも多様な訴えを真正面から受け止めてくれるようになっています。
世の中の更年期に対する認識も大きく変わってきていて、医学も疾患の発症や原因の男女差を研究する性差医学へと広がりをみせ、産婦人科ではない女性外来も日本の各地に増えてきています。
更年期医療は女性医学の中で重要ものだと考えることができます。
ホルモン補充療法により新たな可能性を見出した更年期医療ですが、IT時代に働く女性たちの更年期にはカウンセリングや精神療法など心のサポートも必要です。
大脳生理学の発達や向精神薬の進歩も更年期障害の改善の糸口につながっています。
薬物療法だけでなく、心の整理をして孤立しないで更年期を乗り越えていけるよう精神面についてのケアを充実させましょう。