全身エリテマトーデスの免疫機能抑制と対処療法

根本的な治療は不可能⁉全身エリテマトーデスには対処療法

全身エリテマトーデスの治療方法については、対処療法が主な手段となっています。
なぜならば、現代の医学をもってしても、全身エリテマトーデスの根本的な原因を解明することができていないためです。

つまり、全身エリテマトーデスを治療によって根本的に治すことは難しく、体に表れるさまざまな症状に応じた治療を施して行くことで日常生活を送るのに支障のない体を手に入れるのです。

免疫機能の抑制がカギ

全身エリテマトーデスは自己免疫疾患です。
自己免疫疾患とは、本来は体を守るために存在する免疫機能が、何らかのきっかけによってあなたの体自身を攻撃してしまうことによって起こる病気の総称です。
つまり、全身エリテマトーデスの症状を緩和させるためには、免疫機能を抑制することが重要となってきます。

このような観点から全身エリテマトーデスの初期症状や軽症については、副腎皮質ステロイドが用いられます。
副腎皮質ステロイドは体の中の副腎皮質という器官から出ているホルモンを化学的に作ったものです。
これを服用することで、免疫の抑制をすることができ、結果として全身エリテマトーデスの症状を緩和することができるのです。

特に内臓などに重大な症状が起きていない軽症の患者に対しては、副腎皮質ステロイドを用いて全身エリテマトーデスの症状を緩和することで、問題なく日常生活を送ることが出来るようになる場合が存在します。

また症状の重い患者に対しては、副腎皮質ステロイドを点滴によって短時間で大量に体の中に入れ込む方法が用いられます。
そうすることで口から服用するよりも高い効果を得ることができるのです。
しかしながら長期間点滴をしているわけにはいかないため重篤な症状を抑えるために一時的に点滴を利用して、その後は口からの服用に切り替えていくことが一般的です。

重症に対しては対処療法

このように全身エリテマトーデスの一定の症状に対しては副腎皮質ステロイドを用いることで緩和していくことができます。
しかしながら、全身エリテマトーデスが原因となって内臓などに重篤な症状がおきている場合は、免疫機能を抑制するだけではなく、それぞれの症状に応じた具体的な治療法とっていく必要があります。

例えば腎臓の機能が急速に低下している場合は、迅速に血液透析を行う必要があります。
また血圧が非常に高くなってる場合は降圧剤の服用が求められます。
このように全身エリテマトーデスにおいては、体のどの部位に症状が起こるかによって、対処療法が異なるのです。

早い段階での治療の着手が大切

全身エリテマトーデスは根本的に治療することが難しくなっています。
そのため、対処療法を用いて症状を緩和したとしても、再発の恐れは常につきまといます。
また再発どころか慢性化の経過をたどることも少なくありません。

ただし全身エリテマトーデスは短期間で命を奪うような症状もたらすことは稀であるため、5年生存率は95パーセント以上となっています。
全身エリテマトーデスについては早い段階で病気を感知し、適切な治療を施していくことが求められます。

全身に炎症を起こしてしまう膠原病とは

2020年3月1日