睡眠障害で処方される睡眠薬との付き合い方

睡眠障害の薬物療法イメージ

上手な睡眠薬との付き合い方

生活習慣だけでは睡眠障害がよくならないという場合には、睡眠薬を使うという選択肢もあります。
最近では副作用の少ない睡眠薬も多く、医師の指示のもとで正しく服用すれば安全です。

睡眠薬に対する誤解をなくそう

睡眠薬に関しては誤解が多く、「依存性が強く、薬なしでは眠れなくなってしまう」など、睡眠薬を服用している患者さんの中でも約70%が睡眠薬を危険な薬だと考えているという報告もあります。

しかし現在使われているベンゾジアゼピン系の睡眠薬は入眠を改善して中途覚醒を減少させる睡眠改善作用がありますが、薬の作用時間によって特徴が異なります。

原則として超短時間型(半減期:〜7時間)、短時間型(7〜12時間)は寝つきが悪い時、中途覚醒の改善には中間型(12〜24時間)を用います。

睡眠薬に対する誤った考え

睡眠薬は医師の指示に従ってきちんと服用すれば睡眠障害を改善してくれる効果的な薬です。
しかし、次のような誤解がまだまだ一般常識として蔓延しているようです。

  1. 安定剤は安全だが睡眠薬は怖い薬である
  2. 睡眠薬を飲んだら強い眠気が出現する
  3. 一度飲みだしたら一生やめられない(依存症)
  4. 薬の量がどんどん増していく(耐性)
  5. 物忘れがひどくなる、ぼける(痴呆)
  6. 大量に飲むと死んでしまう(自殺)
  7. 睡眠薬よりアルコールのほうが安全である

睡眠薬を服用する際の注意点

  1. 単剤使用が原則
  2. 副作用に対する充分な理解と注意
  3. 作用特性(半減期・受容体選択制)とくに「長時間作用型睡眠薬」の副作用は数日後に出現します
  4. 増量よりはBZ、N-BZ系以外の睡眠薬(抗うつ薬)の使用
  5. アルコールとの併用禁止
  6. 夜間トイレへ行く際は転倒を(転倒防止)

以前よりも軽くなった副作用、医師の指示に従えば安全

睡眠薬の副作用は以前に比べて格段に改善されましたが、まだ次のような症状が現れる場合があります。

  1. 反跳性不眠(半減期の短い睡眠薬を中断した時に以前より強い不眠や不安感が生じることがあります)
  2. 持ち越し効果(半減期の長い薬を飲んだ時に昼間の眠気やふらつき、脱力感、めまいなどを感じることがあります)
  3. 健忘作用(投与量が多い場合に一時的な物忘れが生じることがあります)
  4. 依存と耐性(程度は軽いものですが若干の耐性と依存症が生じることがあります)
  5. 高齢者特有の副作用(高齢者は1.〜4.のような副作用が生じやすいので使用量を最小限にします)

以上のような副作用が生じることもあるので、睡眠薬の服用に際しては、専門医の指示を守って服用しましょう。
また副作用や気になる症状はその都度医師に報告して、薬の種類を変えてもらうなど早めの対処をすることが大切です。

突然眠り込んだり睡眠時間が増える過眠症

2020年3月1日